前回の記事では、人工甘味料によって痩せやすくなるといった研究結果が存在しないことをお伝えしました。
そこで、今回はもう少し掘り下げて人工甘味料の安全性について検証していきたいと思います。
人工甘味料はかなり多くの食品に含まれており、ダイエットコーラやプロテインにも含まれていることが多いです。
それは、人工甘味料は砂糖よりカロリーが低いと考えられているからです。
では、どんなデメリットがあるのでしょうか?
さっそく見ていきましょう!
この記事でわかること
・人工甘味料の安全性
・人工甘味料にはどんなデメリットがあるのか
・人工甘味料は避けるべきなのか
人工甘味料の安全性は検証されていない

人工甘味料について包括的にレビューを行った論文があったので、それを紹介します。
その論文内では、次のように言われています。
FDA(アメリカ食品医薬品局)や公刊された論文の大多数(特に食品業界によって資金援助を受けたような論文)は人工甘味料の安全性を認めているが、人工甘味料を推奨、あるいは非推奨するようなエビデンスに基づいた包括的なリサーチは不足している。
FDA and most published (especially industry-funded) studies endorse the safety of these additives, there is a lack of conclusive evidence-based research to discourage or to encourage their use.
Science Direct “Non-nutritive sweeteners: Review and update“(筆者訳)
以上のように、人工甘味料の使用は認可されているものの、実際は安全性に関するデータが不足しているようです。
そのため、人工甘味料を長期的に取り続けるとなると注意が必要かもしれません。
なぜ安全性に関するデータが不足しているにも関わらず、食品業界は人工甘味料の使用を進めているのでしょうか?
その理由の1つは、人工甘味料を使用すると砂糖よりも安く甘みを添加できるからだと考えられます。
つまり、製造コストダウンです。
ですので、企業は人工甘味料によって安く製品を作ることができ、消費者は人工甘味料のほうが太りにくいと思い購入する、といった構図になっています。
次に、人工甘味料を取ることで考えられるリスクについてお伝えしていきます。
人工甘味料のデメリットとは?

人工甘味料にはどんなデメリットがあるのでしょうか?
先ほどお伝えしたように、人工甘味料の安全性が確認されていないという点はデメリットであると考えられます。
では、具体的にはどのようなリスクが想定されるのでしょうか?
「人工甘味料によってもたらされるかもしれない毒性(The potential toxicity of artificial sweeteners)」という論文によると、次のようなことが言われています。
人工甘味料の消費は、頭痛などの穏やかなものから癌などの命に関わるものまで、多岐にわたる副作用を引き起こすと考えられる。
Their consumption has been shown to cause mild to serious side effects ranging from nuisance headaches to potentially life-threatening cancer.
SAGE Journals ” The potential toxicity of artificial sweeteners”
要約すると、人工甘味料は頭痛から癌に渡る様々な症状を促進させる可能性がありますが、まだ詳しいことはわからないということです。
それに加え、出生児の体重減少という副作用がある可能性も見られたため、エビデンスが蓄積されていない今の段階では、妊婦が人工甘味料を摂取するのはやめたほうがいいと言われています。
また、人工甘味料の種類によっても副作用が違ってくるようで、頭痛や癌以外にも体内に多くの悪影響を及ぼす可能性があります(それについては後述します)。
この研究は2008年のものですが、2022年現在も人工甘味料に関する議論は決着がついていないようです。
そのため、進んでゼロカロリー商品やカロリーオフ商品を摂取するのはやめといたほうが良さそうです。
もちろん、砂糖を多量に摂取するのも体には悪いので、どっちもどっちですが…(笑)
ここまでは人工甘味料全般についてのお話をしましたが、種類別によっても色々違ってくるようです。
最後に、種類別の人工甘味料の情報をお伝えしたいと思います。
どの人工甘味料を避けたほうがいい?

最後に、人工甘味料と言っても様々な種類があるので、代表的な人工甘味料を種類別に詳しく見ていきたいと思います。
複数の研究論文を参考にしながら下記に表を作ってみたので、詳しくしりたい方は読んでみてください。
以下の人工甘味料は、日本で使用が許可されている6種類のものです。
先に結論を申し上げますと、ほとんど全ての人工甘味料避けたほうがいいということになります。
(危険度3が最大で、危険度1が安全という基準になっています)
・アスパルテーム 危険度3
ショ糖の200倍の甘さを持つ。食品業界によって融資を受けた研究の全てで安全性が確認されているが、独立機関の研究の92%で副作用があると報告されている。アルツハイマー病、注意欠陥障害、出生異常、癌、糖尿病などを引き起こす可能性が示唆されているが、安全性に関する論争は物議をかもしている。
・スクラロース 危険度3
砂糖の600倍の甘さを持つ。頭痛の可能性、腸内細菌に作用することで炎症性腸疾患の可能性がある。しかし、砂糖のようにインスリンレベルを上げることがないため、糖尿病患者の代替策になる。また、膵臓や胸腺への影響の可能性もある。
・アセスルファムK 危険度3
砂糖の200倍の甘さを持ち、100か国以上で使用される。マウスを用いた動物実験においては少量(15mg/kg)だと問題はないが、多量(60-2250mg/kg)に摂取すると染色体異常誘発性、遺伝毒性が見受けられる。肝臓障害や免疫力低下の疑いがある。
・サッカリン 危険度3
砂糖の200-700倍の甘さを持つ。1970~1980年代の研究にて、サッカリンを与えられたラットが膀胱がんを引き起こしたため使用が禁止されていた。しかし、その後の研究により人間には影響がないと結論付けられたため、2000年にアメリカの禁止リストから除外。現在は使用が許可されている。発がん性の疑いがある。
・ネオテーム 危険度3
比較的新しい人工甘味料で、アスパルテームを変化させたもの。砂糖の7000-13000倍の甘さを持つ。動物実験において発がん性が疑われているものの、人間には重大ではないとして承認されている。
・アドバンテーム 危険度2
動物実験において、発がん性は疑われていない。イヌにアドバンテームを13週間与えた実験では、667-2230mg/kgの投与で、ヘモグロビン濃度や赤血球の数が低下した。
以上が、種類別人工甘味料のリスクになります。
現段階では、できればほとんどの人工甘味料は避けたほうがよいと考えられます。
危険度等については渡辺雄二著の『食品添加物ハンドブック』を参考にしました。
まだ詳しいことがわかっていないものが多いので、安全性や危険性について断言することはできませんが、人工甘味料入りの商品を選ぶ際は、是非参考になさってください。
人工甘味料を摂取することの様々なリスク
・発がん性
・膵臓や胸腺、血液、肝臓、脳への悪影響
・免疫力の低下
・出生児へのリスク
・糖尿病の可能性
まとめ

今回は、人工甘味料の安全性やリスクについてご紹介しました。
現時点では、確定的なエビデンスがないので明確なことは言えませんが、多量に取ったりしないこと、あるいは進んで取ったりしないことが賢明だと思われます。
特に、小さいお子さまや妊婦の方などは避けた方がよいでしょう。
参考になれば幸いです。
ダイエットに関する質問も受け付けておりますので、よろしければお問い合わせフォームかコメントにてご質問ください。
頂いた質問については、責任をもって回答させていただきます。
場合によっては複数の論文を調査することもありますため、多少のお時間を頂くこともあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
参考文献
Shankar, P., Ahuja, S., & Sriram, K. (2013). Non-nutritive sweeteners: review and update. Nutrition, 29(11-12), 1293-1299.
Whitehouse, C. R., Boullata, J., & McCauley, L. A. (2008). The potential toxicity of artificial sweeteners. Aaohn Journal, 56(6), 251-261.
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