プチ断食(ファスティング)は今話題のダイエット法です。
英語では、「Intermittent Fasting(断続的断食)」とも呼ばれています。
このダイエット法では、オードファジーを活性化させることで、老化を防ぎつつ痩せることができると言われています。
オートファジーとは、自食作用とも呼ばれており、細胞が細胞内の不要なタンパク質を分解することを指します。
そして、このオートファジーが活発であると、寿命が延びるそうです。
一般的に、プチ断食(ファスティング)の内容は、1日のなかで一定期間空腹の時間を作るというものになっています。
プチ断食(ファスティング)の中には、夕食から昼食まで16時間を空ける16時間断食などがあります。
そこで今回は、論文や研究を参考にしながら、一定期間の断食期間を作るというプチ断食(ファスティング)のメリットとデメリットについてお伝えします。
それでは、さっそく解説していきます!
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・プチ断食のメリットとデメリットついて詳しく知りたい
・プチ断食にどのくらいの効果があるのか知りたい
プチ断食のメリット

まずは、プチ断食(ファスティング)のメリットについて詳しく見ていきましょう!
メリットは主に3つあります。
減量効果

もちろん、プチ断食(ファスティング)には減量効果があると言われています。
では、どのくらいの効果があるのでしょうか?
筋トレを行っている34人の男性を対象にした16時間断食の研究が2016年に発表されているので、それを参考にします。
この研究では、34人の中からランダムに選ばれた半数の男性が、16時間断食を2か月間続けるといった内容になっています。
断食中の食事の頻度は、午後1時、午後4時、午後8時の3回に分けられたそうです。
その結果、16時間断食を実践したグループは体脂肪が劇的に減少したと報告されています。
具体的には、2か月間で16.4%の体脂肪が減少したそうです。
通常の食事を続けたグループでは2.8%の体脂肪しか減少しなかったことを考えると、16時間断食の効果はかなり高いと言えるでしょう。
さらに、16時間断食を2か月実践しても、徐脂肪体重、腕や太ももの筋肉量、筋力に変化が見られなかったことから、体重と一緒に筋肉まで減ってしまう可能性も低いと思われます。
また、プチ断食(ファスティング)のデータを包括的に分析した論文では、11個の研究においてプチ断食の効果が認められたと言います。
11個の研究をまとめると、数か月間で1.1kg~6.5kgの体重が減少したということがわかっています。
ただし、同論文によると、プチ断食(ファスティング)について研究した論文は観察研究(比較対象をもたない研究)が多いと言われています。
それに加え、プチ断食中の食事内容に関しての記述がないものも多数あったと報告されています。
そのため、プチ断食(ファスティング)の明確な減量効果について言うには、より信頼性の高い研究が必要であるというのが現状です。
老化防止効果

一般的に言われているように、プチ断食(ファスティング)には老化防止効果、すなわち寿命が延びるといった効果もあるようです。
動物実験においては、ラットの餌の量を減らすことで寿命が最大80%増加したと報告されている研究もあるそうです。
しかし、寿命の増加には他の様々な要因が関係しているようです。
例えば、断続的断食に関する動物実験のメタアナリシス(包括的な研究)によると、カロリー制限によって寿命が延びたマウスは全体の7~27%であったことが示されています。
つまり、摂取カロリーが減ることで寿命が延びるマウスは約4分の1以下でした。
人間にも同様の効果が現れるとしたら、プチ断食で寿命が延びるのは4分の1以下の割合の人々だけになってしまいます。
今のところ、プチ断食(ファスティング)による老化防止効果については、まだまだ研究段階のようです。
ですので、プチ断食(ファスティング)で寿命が延びるかどうかは、確定的なことがわかっていないのが現状です。
健康促進効果

プチ断食(ファスティング)をすることで、様々な病気の症状が改善することがわかっています。
具体的には、肥満、インスリン抵抗性、脂質異常症、高血圧、および炎症が改善すると言われています。
その理由は、カロリーが制限されることで酸化ストレスが低下するからだと考えられます。
実際に、成人の参加者が2年間のカロリー制限を行ったという研究では、体内の酸化ストレスが減少したと報告されています。
酸化ストレスとは、体のさびのようなもので、癌や心臓病、精神病にも関係しています。
そのため、プチ断食(ファスティング)には健康促進効果があると言えるでしょう。
他にも、血糖値の上昇が穏やかになる点、消化器官が休まる点なども、健康に良い影響を与えると考えられます。
「腹八分目で医者いらず、腹六分目で老いを忘れる、腹四分目で神に近づく」という言い伝えがありますが、これもどうやら本当かもしれません。
プチ断食のメリットは以下の3つ!
・体脂肪が減少するが、筋肉量は減りにくい
・寿命が延びる可能性がある
。酸化ストレスが低下することで健康的になる
プチ断食のデメリット

プチ断食(ファスティング)をすることでデメリットが見られたという研究も存在します。
100人が参加したプチ断食(ファスティング)の研究では、疲れ、脱力、頭痛などの副作用がみられたことが報告されています。
しかし、この研究では実際にプチ断食(ファスティング)が行われたわけではなく、健康上の理由からプチ断食(ファスティング)に近いような食事で実験がなされています。
この論文内では、プチ断食(ファスティング)に近い食事とは、低カロリー、低糖質、低タンパク質、高脂質な食事であると定義されています。
そのため、この研究における副作用はプチ断食(ファスティング)によるものというよりは、ケトジェニックダイエット寄りの食事によるものだと考えるのが妥当でしょう。
つまり、プチ断食(ファスティング)を行っていたとしても、炭水化物やタンパク質がしっかりとれているなら、このような副作用については心配しすぎるほどではないと考えられます。
プチ断食(ファスティング)の副作用についても、さらなる研究が必要なようです。
プチ断食(ファスティング)で炭水化物やタンパク質の摂取量が少ないと、疲れや頭痛などが起こる可能性がある。
まとめ

今回は、プチ断食(ファスティング)のメリットとデメリットを科学的に解説しました!
このダイエット法に注目が集まったのは最近のことですので、あまり研究が進んでいないのが現状です。
しかし、プチ断食(ファスティング)は減量に効果的であり、健康面においてもメリットをもたらしてくれます。
また、深刻なデメリットも起こらないと考えられます。
そのため、試す価値はあるでしょう。
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頂いた質問については、責任をもって回答させていただきます。
場合によっては複数の論文を調査することもありますため、多少のお時間を頂くこともあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
参考文献
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