ケトジェニックダイエット(ケトン食)のメリットとデメリットを論文から科学的に解説!

科学的なダイエット法

ケトジェニックダイエット(ケトン食)とは、糖質を減らして脂質を増やすことで、ケトン体をエネルギー源にするというダイエット法になります。

ケトン体とは、脂肪細胞の脂肪が肝臓でエネルギーに変換されたものです。

これは、体が糖質をエネルギー源にできないときに起こる反応です。

そのため、糖質を減らして脂質を取ると、脂肪がエネルギーになるため痩せやすくなるということです。

今回は、このようなケトジェニックダイエットについて、海外論文を参考にしながらメリットとデメリットを解説します。

それでは、さっそく解説していきます!

この記事がおすすめな人
・ケトジェニックダイエットについて詳しく知りたい
・ケトジェニックダイエットのメリットやデメリットを知りたい
・ケトジェニックダイエットを始めようか迷っている

ケトジェニックダイエットのメリット

まず、ケトジェニックダイエットのメリットについてお伝えします。

ケトジェニックダイエットについては研究が進んでないというのが現状ですが、メリットの可能性も含めてご紹介していきます。

体が脂肪燃焼モードに切り替わる

1つめのメリットは、体が脂肪燃焼モードに切り替わることです。

これについてNature関連誌掲載の「Intermittent metabolic switching, neuroplasticity and brain health」という論文を参考に少し説明したいと思います。

通常、人間の細胞は糖質を分解して生成されるグルコースをエネルギー源としています。

具体的には、食後の肝臓は700~900キロカロリーのエネルギー(グルコース)を体全体に供給します。

そして、そのエネルギー供給は10~14時間続きます。

その後、肝臓のエネルギーが枯渇しグルコースを供給できなくなると、脂肪細胞から脂肪酸が放出されます。

つまり、糖質が制限されている状況下では、グルコースに代わって脂肪酸とケトン体が主なエネルギー源になります。

これは「G-to-K Switch(グルコースからケトン体への転換)」と呼ばれています。

先述のように、ケトン体とは脂肪細胞の脂肪が肝臓でエネルギーに変換されたものです。

そのため、ケトン体をエネルギー源としている状態は、脂肪が燃えやすく痩せやすい状態であるというわけです。

認知能力の向上の可能性

The effects of the ketogenic diet on behavior and cognition」という論文によると、ケトジェニックダイエットによって、認知能力が向上したという研究もあるそうです。

例えば、ケトン食を実践した子どもは注意力と認知機能が向上し、行動にも好変化が現れたと言われています。

また、パーキンソン病やアルツハイマーの患者がケトン食を実践したところ、患者の認知活動が向上したという研究もあります。

他にも、自閉症の子どもを対象にしたパイロットスタディ(小規模な研究)においては、ケトン食によって行動や社会的なコミュニケーション、認知的欠陥が改善したと報告されています。

以上のような研究をまとめると、ケトジェニックダイエットによって認知能力が向上する可能性が高いです。

これはケトジェニックダイエットのメリットの1つと言えるでしょう。

ただし、ケトジェニックダイエットによる認知能力の向上については研究段階ですので、現段階では可能性として捉えておいたほうがよさそうです。

病気のリスクが低下する可能性

ケトン食によって、病気のリスクが低下するかもしれないと言われています。

ですが、ケトン食についての研究は不足しているため、こちらもあくまで可能性にとどまっています。

例えば「The Potential Health Benefits of the Ketogenic Diet: A Narrative Review」というレビュー論文によると、糖尿病、心臓疾患、癌などへの影響が示されています。

2型糖尿病については、糖質を制限するようなケトン食で改善したと報告されています。

心臓疾患については、疑わしい研究も存在するものの、現段階ではケトジェニックダイエットによって心臓疾患が改善する可能性があるようです。

癌への影響については、マウスを用いた研究では癌に対して好影響が見られましたが、ヒトを対象にした実験が不足しています。

そのため、癌への影響については論争が続いています。

このように、ケトジェニックダイエットは上記の生活習慣病に有効的な可能性がありますが、治療法として使用するにはさらなる研究が必要なようです。

ケトジェニックダイエットのメリットは以下の3点!
・体が脂肪燃焼モードに切り替わる
・認知能力が向上する可能性がある
・生活習慣病を予防するかも?

ケトジェニックダイエットのデメリット

次に、ケトジェニックダイエットのデメリットについてお伝えします。

主に「Ketogenic Diet」という論文を参考にしながら解説していきます。

軽度の副作用

短期間のケトジェニックダイエットを行うにあたり、軽度の副作用がでることがあります。

具体的には、吐き気、嘔吐、頭痛、疲労感、めまい、不眠、便秘、運動が続かない、などの症状が現れることがあります。

この症状は「keto flu(ケト・フルー)」と呼ばれており、数日から数週間でおさまるようです。

なぜこのような症状が起こるかと言うと、糖質をエネルギーとすることに慣れてきた体にとって、いきなりケトン体をエネルギーに変換するのは負担だからだそうです。

また、ケト・フルーの状態では水分とミネラルが多量に失われるため、水分とミネラルの補給をいつも以上にしっかりしたほうが良いです。

水分とミネラルの補給によってケト・フルーが緩和されることもあります。

長期的な研究が行われていない

ケトジェニックダイエットの長期的な研究が行われていないという点もデメリットです。

長期的な副作用の可能性としては、肝性脂肪症、低タンパク血症、腎結石、ビタミンおよびミネラル欠乏症が挙げられています。

たしかに、短期的には体重減少や病気予防などのメリットがありますが、長期的には何かしらの副作用があるかもしれません。

そのため。実際に長期間での影響を調べるには、最低2年間ケトジェニックダイエットを実践し、検証するといった研究が必要になります。

しかし、そのような研究が存在しない以上、ケトジェニックダイエットの長期的な実践には慎重になる必要があります。

もしくは、ビタミンやミネラルなどの不足しがちな栄養素をとるように心がけるとよいでしょう。

ケトジェニックダイエットのデメリットは以下の2点!
・ケト・フルーが起こることがある(数日から数週間のみ)
・長期的な人体への影響がわかっていない

まとめ

今回は、ケトジェニックダイエットのメリットとデメリットについてお伝えしました。

メリットとしては、痩せやすくなったり、健康によかったりすることが挙げられます。

その一方で、「ケト・フル―」の症状が出ることがあります。

この「ケト・フル―」は短期間で治る症状なのであまり心配はいりませんが、ケトン食の長期的な人体の影響については研究がまだ進んでいません。

そのため、長期的に行うとなると注意が必要です。

しかし、現時点では重大なデメリットも存在しないため、体の様子を見ながら続ければ問題がないと考えられます。

参考になりましたら幸いです。


只今、ダイエットに関する質問も受け付けておりますので、よろしければお問い合わせフォームかコメントにてご質問ください。

頂いた質問については、責任をもって回答させていただきます。

場合によっては複数の論文を調査することもありますため、多少のお時間を頂くこともあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

参考文献
Mattson, M. P., Moehl, K., Ghena, N., Schmaedick, M., & Cheng, A. (2018). Intermittent metabolic switching, neuroplasticity and brain health. Nature Reviews Neuroscience19(2), 81-94.

Hallböök, T., Ji, S., Maudsley, S., & Martin, B. (2012). The effects of the ketogenic diet on behavior and cognition. Epilepsy research100(3), 304-309.

Masood, W., Annamaraju, P., & Uppaluri, K. R. (2020). Ketogenic diet. StatPearls [Internet].

コメント

タイトルとURLをコピーしました