低炭水化物高タンパク質ダイエットのメリットとデメリットを科学的に解説!

科学的なダイエット法

低炭水化物高タンパク質ダイエットとは、炭水化物を少なめにし、タンパク質を多めにとるという人気のダイエット法になります。

しかし、そんなダイエット法でも当然メリットとデメリットがあります。

また、このダイエット法が合わないという方もいるでしょう。

そこで今回は、低炭水化物高タンパク質ダイエットのメリットとデメリットについて解説します。

それでは、さっそくお伝えしていきます!

この記事がおすすめの人
・低炭水化物高タンパク質ダイエットのメリットとデメリットを知りたい
・このダイエット法が自分に合っているか知りたい

低炭水化物高タンパク質ダイエットのメリット

まずはじめに、低炭水化物高タンパク質ダイエットのメリットについてお伝えします。

減量に効果的である

このダイエット法の一番のメリットは、減量に効果的なことです。

日本人研究者らが行った臨床的研究によると、今までに2699人が低炭水化物食事法を試した結果、25.6%が体重の10%以上の減量に成功、78.8%が体重の2.5%以上の減量に成功したと言われています。

このことからも、炭水化物を控えることが減量にとても効果的であるということがわかります。

では、なぜ炭水化物を抜くことが減量に効果的なのでしょうか?

以前の記事で説明したように、砂糖をとると血糖値が上昇しインスリンが分泌されます。

分泌されたインスリンは脂肪を蓄えるように働きます。

そのため、砂糖をとると太りやすい体質になります。

そしてそれは炭水化物をとったときも同様です。

たしかに、炭水化物による血糖値の上昇は、砂糖よりも穏やかでしょう。

しかし、炭水化物を摂取した際にも血糖値の上昇に伴いインスリンが分泌され、体が脂肪を蓄えようします。

このような肥満の構造は「炭水化物-インスリンモデル(carbohydrate–insulin model of obesity)」と呼ばれています。

したがって、炭水化物を少なくすることができれば体は脂肪を蓄えようとしなくな、逆に脂肪が燃焼されやすくなるというわけです。

また、炭水化物を減らすと必然的にエネルギー摂取量も減少するため、痩せやすくなると考えられます。

短期間で効果が現れる

低炭水化物高タンパク質ダイエットは、短期間で効果が現れやすいのも特徴です。

体重過多の51名が参加した研究によると、12週間の低炭水化物ダイエットで参加者のBMIが1.01~3.29ほど減少したと言われています。

そのため、低炭水化物高タンパク質ダイエットを実践すれば、2か月から3か月の間で効果が目に見えてくると考えられます。

また、上記の研究ではコントロール群(通常のように炭水化物50%の食事をとる集団)と実験群(炭水化物20%の食事をとる集団)を比較した実験ですので、信頼性は高いと考えてよいでしょう。

さらに、他の包括的な研究においても、低炭水化物高タンパク質ダイエットは短期間で効果が出ることが示されています。

したがって、低炭水化物高タンパク質ダイエットは短期間で痩せられるというメリットも持ち合わせています。

低炭水化物高タンパク質ダイエットのメリットは以下の2点
・ダイエットに効果的であること
・短期間で効果が現れやすいこと

低炭水化物高タンパク質ダイエットのデメリット

次に、低炭水化物高タンパク質ダイエットのデメリットについても解説していきます!

炭水化物の摂取量を減らすことのリスク

このダイエット法は、長期間実践すると死亡率が上昇する可能性があることが示唆されています。

1999年から2010年までの米国国民健康栄養調査のデータ(24825人分)を解析した研究によると、炭水化物の摂取量が最も低い人々は死亡率が一番高かったと言われています。

具体的には、全体の死亡率が35%上昇したそうです。

特に、心臓血管病脳血管病による死亡率が高くなっています。

また、低炭水化物食と死亡率の相関関係は、肥満でない人々において強かったとも言われています。

これは、健康な人が炭水化物を減らすリスクが高いことを意味します。

15428人のアメリカ人のアンケート結果をもとにした論文では、炭水化物量がエネルギーの50~55%で死亡率が最も低く、40%以下もしくは70%以上で死亡率が高くなったと言われています。

つまり、健康な人が炭水化物を抜くのはリスクが高いということです。

それを踏まえると、やはりある程度の量の炭水化物は摂取する必要があります。

動物性タンパク質の摂取によるリスク

また、炭水化物を抜くことだけでなく、動物性タンパク質をとることもリスクになる可能性があることがわかっています。

例えば、先ほどと同じ論文によれば、次のように結論付けられています。

羊肉、牛肉、豚肉、鶏肉などの動物性由来のタンパク質と脂肪を取り入れる低炭水化物食事法は、高い死亡率と関係していた。しかし、野菜、ナッツ、ピーナッツバター、全粒粉のパンなどの植物性由来のタンパク質と脂肪を取り入れる低炭水化物食事法は、低い死亡率と関係していた。

Low carbohydrate dietary patterns favouring animal-derived protein and fat sources, from sources such as lamb, beef, pork, and chicken, were associated with higher mortality, whereas those that favoured plant-derived protein and fat intake, from sources such as vegetables, nuts, peanut butter, and whole-grain breads, were associated with lower mortality〔…〕

Science Direct “Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis”(筆者訳)

つまり、動物性プロテインや動物性脂肪を取ると死亡率が上がり、植物性プロテインや植物性脂肪を取ると死亡率が下がるということです。

ですので、炭水化物を抜きながら動物性プロテインを摂取すると、二重の意味で死亡率が高まると考えられます。

低炭水化物高タンパク質ダイエットのデメリットは以下の2点
・炭水化物の摂取を少なくすることで死亡率が増加する可能性がある
・動物性タンパク質を多量に摂取すると死亡率が増加する可能性がある

低炭水化物高タンパク質ダイエットがおすすめの人

以上を踏まえると、短期間で痩せる必要がある方に低炭水化物高タンパク質ダイエットはおすすめとなります。

例えば、夏に水着を着る機会があるけれど夏まで残り3か月しかない、などといった場合です。

そのような状況では、痩せることが最優先ですので…(笑)

しかしそれでも、体調を崩さないために、1日に炭水化物を130g以上は取ることをおすすめします。

一方、長期的な目線でダイエットを考えている方には、低炭水化物高タンパク質ダイエットはおすすめできないダイエット法になります。

なぜなら、短期間でこのダイエット法を行うならばリスクはそこまで高くないと考えられますが、長期的に行うと悪影響が出る可能性があるからです。

あとは、ご自身の体調と相談しながらダイエットを進めていきましょう。

まとめ

今回は、低炭水化物高タンパク質ダイエットのメリットとデメリットについてご紹介しました。

メリットは短期間で効果的に痩せることができる点です。

しかし、デメリットとして、長期間続けると死亡率が上がる可能性があります。

ですので、低炭水化物高タンパク質ダイエットを実践する場合は、短期間で行うようにしましょう。

私自身も1週間ほど試したことがありますが、調子が悪くなったのでやめてしまいました。

おそらく、人によって向き不向きがあると思われますので、くれぐれも無理をなさらないようにしてください。

参考になりましたら幸いです。


只今、ダイエットに関する質問も受け付けておりますので、よろしければお問い合わせフォームかコメントにてご質問ください。

頂いた質問については、責任をもって回答させていただきます。

場合によっては複数の論文を調査することもありますため、多少のお時間を頂くこともあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

参考文献

Bando, H., Ebe, K., Muneta, T., Bando, M., & Yonei, Y. (2017). Clinical effect of low carbohydrate diet (LCD): Case report. Diabetes Case Reports2(2), 124.

Zhang, S., Wu, P., Tian, Y., Liu, B., Huang, L., Liu, Z., … & Sun, J. (2021). Gut Microbiota Serves a Predictable Outcome of Short-Term Low-Carbohydrate Diet (LCD) Intervention for Patients with Obesity. Microbiology spectrum9(2), e00223-21.

Freire, R. (2020). Scientific evidence of diets for weight loss: Different macronutrient composition, intermittent fasting, and popular diets. Nutrition69, 110549.

Mazidi, M., Katsiki, N., Mikhailidis, D. P., Sattar, N., & Banach, M. (2019). Lower carbohydrate diets and all-cause and cause-specific mortality: a population-based cohort study and pooling of prospective studies. European Heart Journal40(34), 2870-2879.

Seidelmann, S. B., Claggett, B., Cheng, S., Henglin, M., Shah, A., Steffen, L. M., … & Solomon, S. D. (2018). Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis. The Lancet Public Health3(9), e419-e428.

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