一般的に、牛乳はカルシウムが多量に含まれているため、健康に良いと言われています。
しかしその一方で、牛乳200mlには糖質が約10gも含まていているということで、糖質制限中には敬遠されがちです。
そこで今回は、海外論文を参考にしながら牛乳と肥満の関係について解説していきたいと思います。
さらに、豆乳についても検証していきます。
この記事がおすすめな人
・ダイエット中に牛乳を飲んでもいいかわからない
・牛乳を飲むと太るかもしれないと思っている
・牛乳と豆乳のどちらが太りにくいか知りたい
子どもを対象にした牛乳の研究
ここでは、子どもを対象にした牛乳の研究を1つご紹介します。
結論から申し上げますと、子どもを対象とした研究においては、牛乳を飲んで痩せるグループと太るグループがあり、その決定的な原因はわかっていません。
そのため、一概に「ダイエット中に牛乳を飲むべきではない」とは言えません。
おそらく、牛乳を飲んだとしても体重にはさほど影響はないと考えられます。
では、詳しく見ていきましょう。
牛乳を飲んでも太らない?
最初にご紹介する研究は「牛乳の摂取量と子どもの成長の関係:全国的な横断研究の結果(Association between milk intake and childhood growth: results from a nationwide cross-sectional survey)」というものです。
この研究は、中国全土の6歳から17歳の子ども41439人のデータを解析したものになります。
この研究は、中国の子どもにおいては、多量の牛乳の摂取によって身長が高くなり、肥満のリスクが下がるということを明らかにした。
This study revealed the association of increased milk intake with increased body height and lowered obesity risk among Chinese children.
Nature “Association between milk intake and childhood growth: results from a nationwide cross-sectional survey”(筆者訳)
この研究の結果を詳しく見てみると、以下のようになります。
牛乳の摂取量が多い男児は、牛乳を飲まない男児と比べて、BMIが低く (−0.56, 95% CI: −1.00, −0.12 kg/m2)、肥満のリスクも低かった (OR = 0.67, 95% CI: 0.46, 0.97)。
Boys with high milk intake had lower BMI (−0.56, 95% CI: −1.00, −0.12 kg/m2) and risk of obesity (OR = 0.67, 95% CI: 0.46, 0.97) than those without milk intake.
同上(筆者訳)
ここでは、牛乳を多く飲む男児は、飲まない男児と比べてBMIが0,56ほど低かったということが示されています。また、牛乳を飲む男児のほうが肥満のリスクも少なかったそうです(オッズ比0,67)。
この結果を見ると、牛乳を飲んだら痩せるんだと思ってしまう方もいるかもしれません。
しかし、女児に関しては、真逆の結果が生じています。
しかしながら、牛乳を多く摂取している11歳から13歳の女子は、肥満のリスクが高かった(OR = 2.75, 95 C.I. = 1.41–5.38)。
However, high milk intake showed higher risks (OR = 2.75, 95 C.I. = 1.41–5.38) of obesity for girls aged 11–13 years.
同上(筆者訳)
ここでオッズが2,75倍であることが示されているため、女子に関しては牛乳を飲むことで太る可能性が高いことがわかります。
以上より、この研究からは、牛乳を飲んで体重が増えるのか減るのかということに関して確定的なことは言えません。
言えるとするならば、人によって牛乳による太りやすさ(痩せやすさ)が異なるということでしょう。
なぜ女子だけ牛乳で太るのか?
私の解釈ではありますが、牛乳によって女子のみが太るというこの結果には牛乳に含まれる女性ホルモンが関係していると考えています。
〔…〕効率よく搾乳するために乳牛を妊娠させ続けているということです。哺乳類は、妊娠中は胎児を守るためにエストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)などの女性ホルモンの値が高くなります。その女性ホルモンも、牛乳の中に混じってしまうのですが〔…〕
Business Journal「牛乳は超危険!子供は絶対NG!がん・糖尿病・脳梗塞・心筋梗塞の恐れ」
つまり、牛乳には多量の女性ホルモンが含まれており、その女性ホルモンによって身体の発達が過剰に進んでしまう可能性があるのではないか、ということです。
そのため、多量の牛乳の摂取には注意が必要だと思われます。
豆乳はダイエットに効果的なのか?
次に、豆乳に関する研究についてご紹介します。
それは「暫定的な研究:体重増加を促進させる無脂肪牛乳と同等の効果を持つ豆乳(Preliminary Study: Soy Milk as Effective as Skim Milk in Promoting Weight Loss)」という論文になります。
この研究は、14人の肥満女性が1日に720mlの豆乳あるいは無脂肪牛乳を8週間飲み続けるといったものです。
結果として、次のようなことが言われています。
(無脂肪牛乳と豆乳を飲む)2つのグループにおいて、体重、体脂肪率、腹囲、除脂肪体重に大きなな違いは見られなかった。
There were no significant differences in weight, fat percent, abdominal circumference, and fat-free mass between groups.
Science Direct “Preliminary Study: Soy Milk as Effective as Skim Milk in Promoting Weight Loss”(筆者訳)
このことから、無脂肪牛乳と豆乳はダイエットに関しては明確な差異がないということがわかります。
さきほどの研究では、牛乳による大きなダイエット効果はないと判明しましたので、豆乳に関してもダイエット効果はさほどないと考えられます。
牛乳と豆乳のいずれにせよ、ダイエットのために飲むものではなく、飲みたいときに飲むものであると認識すればよいと思われます。
まとめ

今回の検証では、牛乳や豆乳を飲んでも極端に痩せるわけでもなく、太るわけでもないということがわかりました。
しかし、牛乳を飲む女子のBMIが高いという結果が出ているため、牛乳に含まれる女性ホルモンの影響が示唆されます。
そのため、その点を留意したうえで牛乳を飲むべきだと考えられます。
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