腸内環境と肥満の関係を論文をもとに科学的に解説【腸が原因で太る?】

ダイエットの小知恵

ダイエットに励むうえで、腸内環境というのは軽視されがちです。

というのも、ダイエットと聞くと「どのくらい食べるか」だったり「どのくらい運動するか」といった外的要因に注目してしまうからです。

ですが、実は腸内環境も肥満と大きく関係しています。

そこで今回は、国内や海外の論文を参考にしつつ、腸内環境と肥満の関係について詳しく説明していきます。

さらに、腸内環境を整えるための食事についてもお伝えしていきます。

では、さっそく説明していきます!

この記事がおすすめの人
・腸内環境とダイエットは関係ないと思っている
・腸内環境がどのように肥満と関係しているのか知りたい
・腸内環境をよくしたい

腸内環境の多様性と肥満の関係

まずはじめに「A core gut microbiome in obese and lean twins」という研究をもとに解説していきます。

この研究は、54名の一卵性双生児または二卵性双生児の腸内環境を調査したものです。

その結果、肥満は腸内細菌の多様性の低さと関係していたことがわかっています。

つまり、腸内細菌の多様性が高い人は痩せ型の割合が高く、腸内細菌の多様性が低い人は肥満型の割合が高かったということです。


さらに「Gut microbiome diversity and high-fibre intake are related to lower long-term weight gain」という研究でも同様の結果が示されています。

この研究は、1632名の女性の腸内細菌叢(腸内フローラ)と体重増加の関係などを調査したものとなっています。

その中で「腸内細菌の多様性は長期的な体重増加と負の相関関係にあった」と報告されています。

これは、腸内細菌が多様な人ほど長期的に太りにくいということを意味しています。

このように、いくつかの研究では、腸内環境の多様性が体重と関係しているということが示されています。

そのため、腸内細菌の多様性を高めることで太りにくい体質に繋がると考えられます。

腸内炎症と肥満の関係

次に、腸内の炎症と肥満の関係についても解説していきます。

Obesity, inflammation, and the gut microbiota」という研究では、体内の炎症が肥満と関係していることが言われています。

具体的には、主要な炎症マーカー(炎症を測る指針となるもの)は一貫して肥満と関係しているそうです。

実際に、51個の研究を総括したメタアナリシス(総合的な論文)では、C反応性タンパク質と肥満が関係していると報告されています。

C反応性タンパク質とは、体内に炎症が生じると血中に現れるタンパク質です。

そのため、体内で炎症が起こっていると肥満になる可能性が高くなると言えるでしょう。

腸における炎症も体内で起こる炎症の1つです。

ですので、太りにくい体質を作るためには、炎症が起こらない健康な腸を作ることが肝心です。

腸内を健康にするにはどうしたらいいの?

最後に、腸内環境を改善し、炎症が起こりにくい健康な体を作るにはどうすればよいのか解説します。

健康な腸を作るために重要なのは、食事です。

腸を健康にするためには、炎症食品(inflammatory foods)をなるべく避け、抗炎症食品(anti-inflammatory food)をとるように心がけることが大切です。

炎症食品(inflammatory foods)とは、文字通り体内で炎症を起こしやすい食品のことです。

具体的には、以下のようなものが炎症食品であると言われています。

炎症食品リスト

  1. 砂糖
  2. 清涼飲料水
  3. 水素化油脂
  4. トランス脂肪酸
  5. 牛乳
  6. 揚げ物
  7. 飽和脂肪酸
  8. 穀物を与えられた家畜
  9. 加工肉
  10. 多量のアルコール
  11. 精製された穀物
  12. グルテン
  13. 人工甘味料
  14. グルタミン酸ナトリウム
  15. 保存料、人工着色料、香料
  16. ready-to-eat meals(そのまますぐに食べられるような食品)
  17. アレルギー食品
    (※Inflammatory Foods List: 17 Foods That Poison The Bodyを参考)

このように、一般的に健康に悪いと言われている食品の多くは炎症食品と言われているようです。


反対に、抗炎症食品(anti-inflammatory food)とは、体内の炎症を抑えてくれる食品ことです。

具体的には、以下のようなものが抗炎症食品であるとされています。

抗炎症食品リスト

  1. 緑黄色野菜
  2. 果物
  3. 油を多く含む魚
  4. ブロッコリー
  5. アボカド
  6. 緑茶
  7. 胡椒
  8. マッシュルーム
  9. ぶどう
  10. ターメリック
  11. エキストラバージンオリーブオイル
  12. ダークチョコレート
  13. トマト
    (※13 of the Most Anti-Inflammatory Foods You Can Eatを参考)

上記が抗炎症食品の一覧になりますが、健康的だと言われている食品が多く含まれています。


以上が炎症食品と抗炎症食品の説明ですが、炎症食品リストにある食品を避け、抗炎症食品リストにある食品を積極的に摂取することで腸内の炎症を抑えることができるでしょう。

腸の炎症を抑えることで、太りにくい体質が作れますし、健康的にもなれるということで一石二鳥(?)だと考えられます。

ですので、ダイエットに励む方はカロリーのみを気にするのではなく、健康的な食事をとるように気をつけるとよいでしょう。

まとめ

今回の記事では、腸内の環境が悪化することで太りやすくなるという研究結果をご紹介しました。

腸内環境を整えるためには、まずは腸内の炎症を鎮めることが肝心です。

そのために、炎症食品を避け、抗炎症食品を多めにとるように心がけると良いでしょう。

参考になりましたら幸いです。


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頂いた質問については、責任をもって回答させていただきます。

場合によっては複数の論文を調査することもありますため、多少のお時間を頂くこともあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

参考文献

Turnbaugh, P. J., Hamady, M., Yatsunenko, T., Cantarel, B. L., Duncan, A., Ley, R. E., … & Gordon, J. I. (2009). A core gut microbiome in obese and lean twins. nature457(7228), 480-484.

Menni, C., Jackson, M. A., Pallister, T., Steves, C. J., Spector, T. D., & Valdes, A. M. (2017). Gut microbiome diversity and high-fibre intake are related to lower long-term weight gain. International Journal of Obesity41(7), 1099-1105.

Cox, A. J., West, N. P., & Cripps, A. W. (2015). Obesity, inflammation, and the gut microbiota. The lancet Diabetes & endocrinology3(3), 207-215.

Choi, J., Joseph, L., & Pilote, L. (2013). Obesity and C‐reactive protein in various populations: a systematic review and meta‐analysis. Obesity reviews14(3), 232-244.

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